飽食の時代も過ぎ、食に対する最近の社会的ニーズは、「安心」「安全」「健康」「高齢化」が主眼となっています。利便性優先の消費型社会の反省から、5つ目のキーワードとして「環境」も踏まえた新しい食材加工の形態が模索されています。
一般に、食品の調理加工には圧倒的に「熱」が使われ、保存には冷蔵といった冷熱を利用しています。一方で、「圧力」は、「熱」と共に固体、液体、気体といった物質の状態を変換させる因子でありながら、人類は数百万年の間、食品の調理加工には「熱」だけを利用してきました。
高圧処理とは1,000気圧以上の圧力を利用する新技術であり、食品の成分を構成する共有結合を開裂させず、安全性を脅かす物質が生じません。また、熱に比べて、栄養素の破壊、異臭の発生、エネルギーの消費が小さく、容器内のすべての部位で均一な処理が保証されることも未来の食品加工に適しています。高圧処理により、多くの食料分野で、新しい機能性を持った食品が開発され、省エネルギー生産によって食品産業に寄与すると共に、環境に配慮した豊かな社会の構築に役立つものと確信しています。
H・P未来産業創造研究会では、高圧処理に関わる新技術、特許の活用により、消費者のニーズを的確に捉え、新市場に挑戦すると共に、新事業を創造することを目的に活動を行っています。さらに、これに伴う企業の事業高度化や、新産業の創成を図り、地域経済の活性化、雇用の創出を目指しています。